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バイオスティミュラントの未来とは? 品揃えの増加で生産現場のニーズに応える製品に

いま、バイオスティミュラント(BS)製品を取り巻く環境が大きく変わっている。バイオスティミュラントの未来は、どうなるのだろうか? 日本バイオスティミュラント協議会事務局長の須藤さんに聞いた。

近い将来、多種多様なBSが
続々登場する!?

「近い将来、今とは比較にならないほど、農業現場の多様なニーズに応えられるBS製品がラインナップされるようになるでしょう。日本の農業は多様性が特徴ですが、その多様な作物・品種のあらゆる生育段階に、またあらゆる圃場環境や作型に対応できるBS製品が市場に続々と登場することでしょう。
 
それを実現するために、メーカーはBS製品のパフォーマンスを見極めて、生産状況に合わせたエビデンスベースの技術提案をする必要があります。ただ製品を増やすだけでなく、作用機序を明らかにする。言い換えると『適切なBS資材と適切な使用方法の推奨』が必要になってきます。標準化・規格化とコミュニティの形成が同時に進むことで、その準備が整いつつあるのです」。
 
そもそもBSは生産者の利益を増やすためのものであるが、利益を増やす方法はいくつもある、と須藤さんは続ける。
 
「一番分かりやすいのが収量増。これは明確ですよね。それだけではなく、低温や高温、物理的被害といった環境要因(ストレス)に対して作物を強くすることで減収を防ぐ、という方法もあります。また、農薬、肥料や土作り、そして適切な水管理、施設環境の制御といった既存の技術と組み合わせて使うことで、さらなる増収や高品質化、高効率化を実現することも可能です」。



作物への高付加価値化の方法
としての活用可能性も!?

将来的には、近年重視されている、作物への高付加価値化の方法としても活用されていく可能性もある。「『美味しい作物』とか『健康に良い作物』を作るために使われる、という方法は、一歩進んだBS資材の姿ではないでしょうか。
 
例えばフランスのブドウ産業ではBS製品が多く使われているのですが、それは増収だけが目的ではなく、高品質化を狙ってのこと。赤ワインの赤い色はブドウに含まれるアントシアニンという色素成分によります。ところがブドウの生育が悪いと、ブドウが赤くならない場合があるのです。ブドウの色づきを安定化させることは、赤ワインの品質向上にも一役買っているのです。日本でも、このようなBS資材の利用は増えていくと思われます。
 
また、先程、環境制御技術などと共に組み合わせて使う、と説明しましたが、BS製品はトマトの糖度を高めるのにも有効です。高糖度トマトを作るためには、水分供給を限界まで減らす必要があります。当然のことながら、植物を枯らしてはいけない。そのような場面でもBS製品は活躍できます」。
 
現在の日本におけるBSは市場を形成する過程にあるといえるが、標準化・規格化が実現することで、明確な機能と一定の品質を持った製品が増えていくに違いない。また、BSを共通の関心とするコミュニティが形成されることで、BSに関する知見は今後より深まっていく。
 
生産者がBSを当たり前のように使用する……そんな時代はもう目の前に迫っている。

PROFILE

日本バイオスティミュラント協議会
事務局長

須藤修さん


Text » Reggy Kawashima

AGRI JOURNAL vol.14(2020年冬号)より転載

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