注目キーワード

道工具・資材

農業用ドローン活用を始めてみよう! 農薬散布を行う場合のステップ

農薬・肥料の散布や、作物の生育状況のセンシングで活用される農業用ドローンだが、始めるには何が必要になるのか? ここでは、農薬散布を行う場合のステップを見ていこう。

STEP01 教習を受ける

ドローンによる農薬散布を行うために特定団体の免許・ライセンスは不要だが、飛行承認には一定の技能が求められ、原則として10時間以上の飛行経歴が必要。また、農業用ドローンの購入にはメーカーが指定するオペレーター(操縦)認定証の取得が必要になる。農薬散布に必要な物件投下が学べる教習に参加しよう。

STEP02 ドローンを購入する

圃場の作物、用途、地形や面積などで積載量(液剤or粒剤)などを考えて購入しよう。農薬タンク5Lの機種は10ha以下で中山間地などの狭い圃場向き、10Lの機種は10ha以上散布で請負業の方におすすめ。

機体の散布性能のチェックポイント

◎ 散布幅の範囲(狭い・広い) 
◎ 液滴サイズの変更ができる
◎ ダウンウォシュが強い
◎ 液剤+粒剤散布も可能
◎ 液剤の飛散が少ない
◎ 自動航行システムの有無

STEP03 DIPSで機体登録をする

ドローン情報基盤システム(DIPS)は、ドローンの所有者情報を把握するために国土交通省が運用するシステム。重量が100g以上のドローンを飛行させる場合は事前に氏名、住所などの所有者情報、種類、製造者、型式、製造番号などの機体情報を機体ごとに登録し、手数料を納付する。有効期限は3年間。

⇒機体登録後、国交省から登録記号が発行される

STEP04 登録記号を貼り付ける

国土交通省から発行された登録記号を機体本体に貼る。
1 シール等は本人が用意する。
2 できるだけ目立つ場所に貼り付ける。
3 機体重量25Kg未満→3mm以上で表示。
4 機体重量25Kg以上→25mm以上で表示。

STEP05 リモートIDに登録記号を書き込む

リモートIDは、BluetoothやWi-Fiといった無線通信を通して機体情報を発信する機器のこと。リモートIDは機体内部に組み込まれた内蔵型タイプと、機体外側等へ取り付ける外付けタイプの2種類があり、書き込みはメーカーアプリやDIPSのアプリを利用する。(SONY、ACSLの一部の機種とDJIの多くの機種は内蔵済み)

STEP06 飛行申請をする

飛行目的、飛行場所、飛行期間、飛行高度などを申請する。飛行申請には特定の日にち、飛行経路が1回のみ承認される「個別申請」と、複数の場所および複数回の飛行ができる「期間包括申請」「飛行経路包括申請」がある。申請方法はDIPSでのオンライン申請のほか、郵送や窓口申請に対応している。

STEP07 FISSで飛行計画を登録する

飛行許可承認を得た後には、必ずドローン情報基盤システム(FISS)でアカウントを開設し、飛行登録を行う。ドローンの操縦者が機体情報と飛行計画を登録することで、同じ空域を飛行する航空機や無人航空機の飛行情報の確認ができ、ドローン同士の衝突や有人ヘリコプターとの事故を防止することができる。

STEP08 農薬散布を実施!

ドローンでの農薬散布には、飛散防止や電線など障害物の回避、その他安全性を確保するために必要な人数の補助者を配置する。登録農薬の適切な使用量、濃度、使用回数を確認して散布し、農薬散布計画と使用記録を保管しておこう。また、飛行の実績は記録しておき、国交省に提出を求められた際は提出を行う。



文:和田悟
イラスト:ササキシンヤ

AGRI JOURNAL vol.25(2022年秋号)より転載

関連記事

農業機械&ソリューションLIST

アクセスランキング

  1. 軽トラカスタムの新潮流!親しみやすさが人気の『レトロカスタム』
  2. 【植物工場ビジネスの最新動向と課題】現状は赤字が約半数。エネルギー削減の取り組み進む...
  3. 魚のフンが肥料に!? 循環型農法「アクアポニックス」をパッケージ化した次世代農場...
  4. ハイスペックで格好良い!「次世代軽トラ」の実力
  5. スマート農機の自動操舵がより正確に! ソフトバンクのRTK測位サービスに迫る...
  6. 太陽光発電を活用し、天候や昼夜を問わず種まきと除草を自動化できる自走式ロボットとは?...
  7. 高温・乾燥ストレスの予防に!「海藻」の恵みを植物へ届けるバイオスティミュラントとは?...
  8. 世界初の量産型農業用無人車が登場! XAG×バイエル『R150』散布と運搬を自動化...
  9. 成功する農業後継「子供の頃から農業が嫌だった」
  10. 植物の免疫力と鉄吸収力を高める! “ビール酵母”がベースのバイオスティミュラントの実力とは...

フリーマガジン

「AGRI JOURNAL」

vol.32|¥0
2024/07/19発行

お詫びと訂正