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生産者の取組み

成功する農業! 就農者減でも人材をフル活用する術

農業で成功を収めるにあたって、一番の課題は人材の確保かもしれない。超売り手市場といわれている昨今、農業だけに留まらず、優秀な人材を確保することは難しくなっている。そんな中で成功するためには? 知らないと損をする重要な2つのポイントを紹介する。

農林水産省の調べによると、平成28年度の農業就業人口は192.2万人で、前年度の統計より17.5万人も減少している。新規就農者においても6万150人と、前年より5千人近く減少している状況だ。
大卒求人倍率が1.8倍近くまであがり、超売り手市場といわれている昨今、どの業界でも優秀な人材の確保は課題だ。では、そんな中で成功するにはどうすればいいのか。
答えは積極的な機械化と、人間が行うべき仕事とのすみわけにありそうだ。

ポイント1
農業の経験値とはなにか

農業には、熟練農家のような長い時間をかけて蓄積した独自の経験値が不可欠である、というイメージを持っている人は多い。確かに、季節や気候条件によって同じ状況が続かない農業において、様々なケースに対応できるだけの幅広い経験値は重要だ。しかし実際には、同じことの繰り返しが多く、地道な単純作業に追われている。

若い人材に熟練農家のような経験を蓄積させようと思うなら、様々な試験を重ねさせてやるべき。そうなると、単純作業は機械に任せ、時間を作り出すことが大事になってくる。また、ブレインである責任者こそ、人材を育てることに時間を割くべきだ。

ポイント2
機械選定のコツは “省人化と平均化”

一言で農業機械といっても色々な種類のものがある。私が行っているネギ栽培で見てみても、播種を全自動で行ってくれるものや、定植を行うもの、収穫を行うものなど様々だ。
実は、失敗しない機械選びには2つのコツがある。

ひとつは、“省力”ではなく”省人”の機械であるかどうか。人材の節約を第一義に置いて機械の選定を行わないと、導入して作業は楽になったが、必要な人材の数は変わらなかったという失敗が起こりかねない。
そしてもうひとつは、誰でも簡単に扱えて、同じ質の効果が得られるかどうか(平均化)だ。たとえば育苗時の灌水など、今までは経験値に頼らざるを得なかった作業を、培土の水分量に応じて自動灌水する機械などがそれにあたる。

今後、農業参入の成功の鍵になるのは、優秀な人材の確保とその人材を育成することで間違いない。
機械導入により省人化や平均化を図れば、栽培責任者が作業ではなく管理と人材育成に努める時間を増やすことができるだろう。作業員と化してしまっていた貴重な人材も、全体に目を向ける余裕が生まれてくるはずだ。その時間と余裕を、管理能力と栽培技術の向上に割くことで、売上アップにつながる。

単純作業だけではなく、自分を磨く時間が持てる。
農業を、他に負けない魅力的な業種にすること。そんな気概も農業の成功には必要なのではないかと私は思う。

小松本孝祐氏

2010年、私立青山学院大学経営学部卒業。新卒で東京デリカフーズ(株)へ入社。カット野菜工場の管理業務、大手飲食チェーン店等への営業業務を経験し、顧客ニーズに寄り添った生産現場の仕組みを構築する必要性を感じたことから、アルファイノベーション(株)へ入社。一から農業を学び、3年目に入った現在は約7haの白ネギ生産リーダーを務めながら、企業の新規農業参入コンサルティングを行っている。

アルファイノベーション(株)

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