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生産者の取組み

協力して野菜病害や豪雨被害を克服! 佐賀県4Hクラブ会長が実感した、恩義の大切さ

干拓事業により造成された、「重粘土質」の土壌が広がる佐賀平野など、特異な環境を有する佐賀県。県内の若手農家のトップを務めるのが、白石町でレンコンなどを栽培する吉原亨史さん。人々との絆に重きを置きながら、地域課題に取り組む“人情派”の農家だ。

メイン画像:「佐賀県4Hクラブ」の会長・吉原亨史さん

農業の好適地・佐賀県を襲った
「タマネギべと病」

かつては有明海の一部であった佐賀平野。幾たびもの干拓事業をとおし、農地へと造成された土地だ。佐賀平野の土壌は、柔らかくミネラルが豊富な「重粘土質」で、玉ねぎやレンコンをはじめとする各種作物の栽培に適している。また、県内には、国内でトップレベルの食味を誇る産物も多い。
 
例えば、「米の食味ランキング(日本穀物検定協会)」にて、最高ランクの「特A」に9年連続でランク付けされた「さがびより」、もっちりとした食感が特徴の「しろいしレンコン」などが有名だ。さらには、新規就農者を増やす取り組みも行われており、代表的なものとして、生産技術などをレクチャーする「トレーニングファーム事業」がある。

吉原さんがおもに手がけているのは、白石町の名前を冠した「しろいしレンコン」

 
農業の好適地であり、高収量を誇る作物が複数存在する佐賀県だが、4年ほど前に危機的な状況に見舞われている。カビの一種である「タマネギべと病」の、広範囲にわたる発生だ。「タマネギべと病」により、タマネギに黄緑色の病斑などが発生し、収量が大きく減ったという。当時の状況について、吉原さんはこう説明する。
 
「カビの胞子が風に乗り、圃場から圃場へとどんどん広がっていったので、地域のタマネギ農家のほとんどが被害を受けましたね。また、ニュースで被害状況が伝えられたのをきっかけに、佐賀産のタマネギの市場価値が下落してしまいました」
 
こうした状況に危機感を感じた吉原さんは、病気が蔓延する原因を突き詰めるとともに、根絶を試みることに。
 
「まず、病気の被害を受けていない農家のもとに、普段の栽培方法などを聞きにいきました。すると、土壌の状態と病気の発生率に関連性があるとわかって。土壌をしっかりとすき、十分に土づくりをすると病気が発生しにくいことが判明しました」。
 
のちに吉原さんは、武雄・杵島地区の4Hクラブである「TK4HアグリマネージメントCLUB」の集会で、自身の取り組みを発表。産地の維持のため、地域の人々の指導を受けながら改善に取り組んだ姿勢が評価され、吉原さんは「経営発展プロジェクト」の部で最優秀賞を受賞した。また、その後も調査を進めた結果、べと病に侵されたタマネギの根を手作業で抜くことで、病気が根絶されることが分かったという。



4Hクラブは
“恩義の循環”が生まれる場所

就農する以前、およそ3年間にわたって「佐賀県農業協同組合」に勤めていた吉原さん。在職中のおもな業務は、肥料や農薬といった資材の販売で、業務をつうじて地元農家と交流する機会が多々あったという。また、就農後、当時培われた人脈が大きく役立ったと話す。
 
「『タマネギべと病』の原因を突き止める時も、人脈が重要になりましたね。地域で幅広いネットワークが築かれていたおかげで、被害を受けていない農家の情報をキャッチできましたし、実際に改善法を教わることができました。“人とのつながりこそ、財産だな”と思うシーンは多々あります」。
 
地域の4Hクラブにも、人とのつながりを重視する姿勢が根づいているよう。2019年8月に豪雨が佐賀県を襲った際、近隣には、圃場が水に浸かりビニールハウスの環境制御装置なども破壊されてしまった農家がいたという。“4Hクラブのメンバーと助け合いながら、全力で復旧を手伝った”と、吉原さんは振り返る。
 
吉原さんにとって、4Hクラブは“いい循環”が生まれる場所。最後に、クラブへの思いをこう話してくれた。
 
「4Hクラブに入った当初、先輩たちにさまざまなアドバイスをもらいました。後輩たちが続々と入ってきた今、自分が受けた恩義を返すつもりで、彼らの面倒をみたいですね。クラブ内で恩義や思いやりが循環したら、うれしいです」


 

PROFILE

吉原亨史さん

1988年佐賀県生まれ。園芸の専門学校を卒業後、佐賀県農業協同組合に勤務。その後退職し、2013年に就農。ほぼ同時期に、「佐賀県4Hクラブ」のメンバーとなる。2019年に同クラブの会長に就任
 

DATA

4Hクラブ(農業青年クラブ)


Text:Yoshiko Ogata



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