注目キーワード

最新技術

採卵鶏舎内の死亡鶏をAIで早期発見。自走型監視システムで採卵効率UP!

採卵鶏舎内の死亡鶏を早期発見する「自律走行型ケージ監視システム」が開発された。採卵鶏舎内を自律走行巡回し、可視光カメラとサーモカメラによるAI解析のダブルチェックで、死亡鶏を早期発見し、利用者に通知する。衛生面・防疫面を向上させ、労力を大幅軽減させる。

AIで発見
自律走行して腐敗卵流出を防ぐ

株式会社センシンロボティクスと大豊産業株式会社は、採卵鶏舎内の死亡鶏を早期発見する「自律走行型ケージ監視システム」を共同開発した。
YouTube「自律走行型ケージ監視システム」:作動中の様子

鶏舎のケージ内における鶏の健康の把握・管理作業は重要であるが、その中でもケージ内の死亡鶏の見逃しは、腐敗卵の流出などの重大な品質問題を引き起こす可能性がある。

自律走行型ケージ監視システムは、採卵鶏舎内を自律走行巡回し、可視光カメラとサーモカメラによるAI解析のダブルチェックで、死亡鶏を早期発見、利用者に通知する。

採卵効率(腐敗卵流出防止)を向上させるシステムだ。


可視光カメラ(左)と赤外線カメラ(右)のダブルチェックにより高い精度での検出が可能。

 

目視が困難な環境でも
死亡鶏を見逃さない

一般的に、採卵鶏舎内は多層式飼育であり、くるぶしから頭上までの目視確認が困難だ。

そのため、目視で死亡鶏を確認するには、多くの時間がかかっていた。また、鶏舎内は薄暗く臭気もあり、羽埃の舞う作業環境が、日々必要である巡回点検の障害となっている。

これらの監視が疎かになり、発見が遅れてしまうと、疫病の蔓延や、腐敗卵の流出(死亡鶏により自動採卵が妨げられ腐敗)につながる可能性が高くなってしまう。

同システムは、AIによる画像の1次判定に加え、サーモカメラによる2次判定を実施し、検出精度を高める。

実証テストでの実績値は、検出率(検出した死亡鶏/全死亡鶏)は93%、誤検出率(生きていた鶏/死亡鶏と判定した鶏)は0.3%であった。
 

衛生面・防疫面を向上
労力は軽減

同システムによって、死亡鶏発見のための巡回が不要となり、通知のあった死亡鶏の除去作業のみとなる。

ケージ内異常を早期に発見、衛生面・防疫面を向上させ、労力を大幅軽減させる。

株式会社横浜ファーム 君津農場では、同システムを導入。「もともと目視で行っていた検知作業は、1日3~4時間ほどかかっており、作業員の負荷が非常に高くなっていた。

システムの導入により、今では5日に1回と、巡回作業回数を削減できた。今後はより巡回間隔をあけてテストしていきたい」とのことだ。

今後は、死亡鶏の検知以外にも、鶏の健康管理を行うシステムの開発を目指す。省力・省人化だけでなく、作業現場の業務効率化を目指している。



DATA

センシンロボティクス
大豊産業


文:竹中唯

関連記事

農業機械&ソリューションLIST

アクセスランキング

  1. 憧れの自動運転!トラクター自動化製品まとめ 【スマートトラクター編】...
  2. 2023年注目農業ウェア・アイテム6選! セレクトショップのおすすめを紹介!...
  3. ゲノム編集と遺伝子組み換えの違いは? メリットを専門家が解説
  4. 【知って得する】若手農家必見! 農家が知るべき3つの「生産性」とは?
  5. ハイスペックで格好良い!「次世代軽トラ」の実力
  6. 神木隆之介が天才植物学者に! 朝ドラの舞台・高知の生産現場で実感した「強さと努力」...
  7. 朝ドラ100作目ヒロイン・広瀬すず「食べることが大好き!」
  8. 手強い雑草を制しつつ、環境にも優しい? “二刀流”の除草剤を使いこなせ!...
  9. 「生産活動そのもの」を価値として販売するには? コメ農家の未来を切り開く、生産者の奮闘...
  10. 軽トラカスタムの新潮流!親しみやすさが人気の『レトロカスタム』

フリーマガジン

「AGRI JOURNAL」

vol.32|¥0
2024/07/19発行

お詫びと訂正